○職員の懲戒処分の基準等に関する規程

令和3年8月1日

訓令第2号

(目的)

第1条 この訓令は、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成16年雲南市・頓原町・赤来町事務組合条例第17号)の規定に基づき、職員の懲戒処分の基準等に関し必要な事項を定め、職員の違法行為や全体の奉仕者としてふさわしくない非行等(以下「非違行為」という。)に対する懲戒処分の透明性を高め、より一層厳正に処分を行うことにより、職員の不祥事を未然に防止し、もって公務に対する住民の信頼を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この訓令において用いる用語の意義は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)、道路交通法(昭和35年法律第105号)及び関係法令の定めるところによる。

(処分の種類及び順位)

第3条 地方公務員法第29条第1項に基づいて行う懲戒処分及びその他の処分(以下「処分等」という。)の種類及び順位は、次のとおりとする。

(1) 免職

(2) 停職

(3) 減給

(4) 戒告

(5) 文書訓告

(6) 口頭訓告

(処分の基準)

第4条 非違行為をした職員に対して行う処分等の基準は、職員の懲戒処分等の基準(別表第1)によるものとする。

(処分の公表)

第5条 職員に対して行った処分については、職員の懲戒処分等の公表基準(別表第2)により公表するものとする。

(報告の義務)

第6条 非違行為を行った職員は、速やかにその事実を所属上司に報告しなければならない。

2 所属長は、職員に非違行為があった場合は、職員分限懲戒審査委員会設置規程(令和3年雲南市・飯南町事務組合訓令第3号)の規定に基づき、速やかに任命権者に報告しなければならない。

(被処分者への措置)

第7条 被処分者(免職処分及び訓告の処分を受けたものを除く。)への措置は、次のとおりとする。

(1) 雲南市・飯南町事務組合職員の初任給、昇格、昇給等基準に関する規則(令和2年雲南市・飯南町事務組合規則第8号)第2条の規定により準用する雲南市職員の初任給、昇格、昇給等基準に関する規則(平成16年雲南市規則第37号)第35条の規定に基づき、昇給する号給数を調整する。

(2) 職員の給与の支給に関する規則(令和2年雲南市・飯南町事務組合規則第10号)第2条の規定により準用する雲南市職員の給与の支給に関する規則(平成16年雲南市規則第36号)第33条に掲げる勤勉手当の成績率とする。

2 免職処分とした職員には、市町村職員の退職手当に関する条例(平成4年島根県市町村職員総合事務組合条例第15号)第14条第1項の規定に基づき、一般の退職手当等の全部を支給しない。ただし、免職処分の理由となった非違が過失等による場合など特に参酌すべき情状がある場合であって、公務に対する住民の信頼に及ぼす影響が極めて少ない場合にあっては、その一部を支給しないこととすることができる。

(被処分者に対する研修等の実施)

第8条 任命権者は、被処分者(免職処分を受けた者を除く。この条において同じ。)に対して、公務員倫理等の再徹底及び再度懲戒処分を受けることがないよう意識改革を図るために、研修及び継続的な指導を行う。

2 研修は、公務員倫理、服務等に係る諸規定、公務の役割と特性、懲戒処分事例及び住民応対のルール等必要と認める事項について実施する。

3 所属長は、被処分者の勤務状況等について必要な期間監察し、指導等を行った場合は、その都度指導記録票に記録するとともに、事務局長に定期的に報告しなければならない。

(その他)

第9条 この訓令により難いものの処分等の取扱いについては、職員分限懲戒審査委員会で審議し、管理者が定める。

この訓令は、令和3年8月1日から施行する。

別表第1(第4条関係)

職員の懲戒処分等の基準

第1 基本事項

(1) 本表は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。

(2) 具体的な量定の決定に当たっては、次の点に留意しなければならない。

ア 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

イ 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

ウ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

エ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

オ 過去に非違行為を行っているか

カ 前各号のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。

(3) 個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るものであり、次に掲げる事項を参考とし、職員分限懲戒審査委員会の意見を参考として判断するものとする。

ア 標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合

(ア) 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

(イ) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき

(ウ) 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

(エ) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

(オ) 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

イ 標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合

(ア) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき

(イ) 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき

第2 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。

(3) 休暇の虚偽申請

病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序を乱す行為

ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

(7) 違法な職員団体活動

ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は職場の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。

(8) 秘密漏えい

職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。

(9) 政治的目的を有する文書の配付

政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。

(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

(11) 入札談合等に関与する行為

組合が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。

(12) 個人の秘密情報の目的外収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

(13) セクシャル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。

ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

(注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

(14) 法令等違反

職務の遂行に関し、法律、条例、規則、訓令、要綱及び要領並びに通知(以下この号において「法令等」という。)に明らかに違反し、又は法令等の適用・解釈を著しく誤ったことにより、組合又は住民等へ損害、不利益等を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(15) 職務怠慢等

職務の遂行に関し、その遂行を著しく長期間放置し、若しくは上司に報告義務等があるにもかかわらずそれを怠り、又は関係事業者等に対し明らかに誤った指示を与え、若しくは確認等を怠ったことにより、組合又は住民等へ損害、不利益等を与えた職員は、減給又は戒告とする。

2 収賄・供応関係

(1) 収賄

職務に関し賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした職員は、免職とする。

(2) 倫理保持義務違反

職員倫理規程(令和3年雲南市・飯南町事務組合訓令第4号)において禁止する行為を行った職員は、最も重い処分を免職とし、最も軽い処分を戒告とする。

3 公金公有物取扱い関係

(1) 横領

公金又は公有物を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は公有物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は公有物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

公金又は公有物を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

重大な過失により公金又は公有物の盗難に遭った職員は、戒告とする。

(6) 公有物損壊

故意に職場において公有物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 失火

過失により職場において公有物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金公有物処理不適正

自己保管中の公金の流用等、公金又は公有物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) コンピュータの不適正使用

職場のコンピュータをその職務に関係しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

4 公務外非行関係

(1) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(2) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 横領

自己の占有する他人の物(公金及び公有物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(9) 賭博

ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

(10) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用

麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。

(11) 酩酊による粗野な言動等

酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。

(12) 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

(13) 痴漢行為

公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

(14) その他の公務外非行

上記に掲げるもののほか、公務外において反社会的な行為を行った職員は、具体的な行為の状況、悪質性等の程度に応じて、免職、停職、減給又は戒告とする。この場合において、刑法、その他の法律及び条例により、最も軽い刑罰が、禁固以上の刑罰と規定されている行為を行った職員は、免職とする。

5 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

(1) 酒酔い運転又は酒気帯び運転(以下「飲酒運転」という。)

ア 飲酒運転をした職員は、免職とする。ただし、酒気帯び運転の場合であって、特段の事情があると認められるときは、停職とすることができる。

イ 飲酒運転となることを知りながら他の者に酒類を提供し、又は飲酒を勧めた職員は、免職又は停職とし、飲酒運転であることを知りながらこれに同乗した職員も同様とする。これらの場合において、飲酒運転をした者が本組合職員であり、その職員を懲戒処分とする時は、その処分量定と同様とする。

ウ 飲酒運転を教唆又は幇助した職員は、前号の処分に準ずるものとする。

エ 自転車での飲酒運転についても、法の規定上「軽車両」に該当し、処罰の対象となることから、態様によっては厳しい処分を科す。

(2) 飲酒運転以外での交通事犯

ア ひき逃げ又は無免許運転をした職員は、免職とする。

イ 前号以外での交通事犯

(ア) 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

(イ) 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(ウ) 著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(3) 前各号以外の交通法規違反をした職員は、戒告又は訓告とする。この場合において、軽微な事案は注意とすることができる。

6 監督責任関係

部下の職員に対して通常指導すべき義務を怠ったと認められる職員は、部下の非違行為に対する監督責任を負う。なお、その対象は、原則として当該職員の所属長、特に悪質と認められるときは、事務局長等まで監督責任を負うものとする。

管理監督者の懲戒処分の可否及び具体的な処分の決定等に当たっては、

① 非違行為を行った部下の職員の処分内容はどの程度であったか

② 部下の職員の非違行為が公務上のものか、公務外のものか

③ 管理監督者として通常行うべき指導等がなされていたか

④ 管理監督者の関与はどの程度であったか

⑤ 組合の組織及び社会に与えた影響はどの程度であったか

等を総合的に考慮の上、判断するものとする。

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい、黙認

部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

別表第2(第5条関係)

職員の懲戒処分等の公表基準

第1 趣旨

この基準は、住民に信頼される公正で透明な公務の確立とともに、公務員倫理の保持の徹底と不祥事の防止を図るため、地方公務員法(昭和25年法律第261号)の規定に基づく職員の懲戒処分を行った場合の公表に関する基準を定めるものとする。

第2 公表対象

次のいずれかに該当する処分を行った場合は公表するものとする。

1 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為にかかる懲戒処分

2 職務に関連しない行為にかかる懲戒処分のうち、免職又は停職である処分

第3 公表内容

公表する処分の内容は次のとおりとする。

1 被処分職員の所属名

2 被処分職員の職名

3 被処分職員の年齢

4 被処分職員の性別

5 処分内容

6 処分年月日

7 処分に至った事実の概要

8 氏名については、収賄、詐欺、横領等により警察等で公にされている場合、又は故意若しくは重大な過失による事件若しくは事故で社会的な影響が極めて大きいと判断される場合には、被処分職員の氏名を公表するものとする。

第4 公表の例外

次に掲げる場合には、公表内容の全部又は一部を公表しないことができるものとする。

1 処分の対象となった被処分職員の行為による被害者のプライバシー保護及び人権等への配慮が必要で、その被害者が公表しないことを求めている場合

2 公表することにより、被処分職員個人の権利利益を不当に害すると認められる場合

3 その他関係者に特に配慮する必要があると認められる場合

第5 公表時期

懲戒処分を行った後、速やかに公表するものとする。ただし、軽微な事案については、一定期間ごとに一括して公表することも差し支えないものとする。

第6 公表方法

報道機関等への資料提供その他適宜の方法によるものとする。

職員の懲戒処分の基準等に関する規程

令和3年8月1日 訓令第2号

(令和3年8月1日施行)